高額の「お一人様」の実態 お一人様ビジネス(4)

コラム

前回の、焼肉からパッケージツアーまで!お一人様ビジネス(3)では、“専業で「勝つ」のではなく、既存のインフラ・業態を活用した「負けない」ビジネスであることが、そもそもが隙間市場である「お一人様ビジネス」に対応しやすい営業形態であるといえるだろう”とまとめた。
スキマであるからにはその単価は総じて低め、隙間時間の有効活用、薄利多売であると思われがちなお一人様ビジネスにも、じつは高額である形態が存在する。それでは、どういった「お一人様」がそのターゲットなのであろうか。

高額の「お一人様」の実態

いまから30年ほど前、日本が空前の好景気に沸いていた頃。世の人々は好況を謳歌し、六本木で万札を振り回してタクシーを停め、クリスマスのホテルは半年前から予約でいっぱいになり、「ちょっとお寿司食べに行こうか」「あれ、羽田に着いたけど、ここで食べるの?」「いまから札幌行こう」というような時代があったのである。そう、バブル景気である。現在50代~60代のシニア世代は、お一人様という以前に、「お金を遣った人生の楽しみ方」を謳歌した世代でもあるのだ。そのバブル期経験層を含め、いま高額の「お一人様」商品が人気を博している。

キーワードは「贅沢」「お一人様」 ワンランク上の旅 お一人様専用ツアー

旅行会社の「クラブツーリズム」(http://www.club-t.com/)では、2017年10月24日の時点で「<ひとりの贅沢・女性限定>『錦秋の軽井沢・懐古園 クラシックホテル「軽井沢万平ホテル」2日間』【1名1室確約/バス席1人2席】」を開催している。旅行代金は6万9000円となっており、一人で軽井沢に行って泊まって食べて帰ってという旅行としては、かなり割高な金額設定である。(東京駅から軽井沢まで新幹線往復で1万1000円弱、朝食と温泉付きのホテルが1~2万円から、その他食事代等の合計と比較して)
だがこの企画は好評のようで、10月にも更に一回、11月にも一回、出発日が追加となっている。

ツアー内容をみると、「夕食はメインダイニングにてフランス料理フルコースをお楽しみください」「2日目は、お野菜がおいしいレストランにて洋食ランチ♪」などとなっており、これらを「お一人様」で堪能するのである。

ちなみにクラブツーリズム社のこのツアー企画は、

【女性限定 ひとりの贅沢】7つのお約束
バス席は「おひとり2席利用」。最大23名様まで、少人数での旅。
厳選した旅館・ホテルに「1名1室」でご宿泊。
ゆとりの行程でご案内。
出発地から帰着地まで、添乗員がご同行いたします。
落ち着きある、大人のためのひとり旅です。
女性企画者が女性におすすめしたい内容で、参加者全員が女性。
女性添乗員が同行し、きめ細やかなおもてなしで旅をサポート。
●申込みはおひとりさま限定となります。
●お客様同士のバス席、部屋割りの指定は一切お受けできません。

(クラブツーリズム旅行企画『錦秋の軽井沢・懐古園 クラシックホテル「軽井沢万平ホテル」』ページより引用 ※2017年10月24日時点)

という内容である。女性限定という面は今回の考察からは外すとして、5.で「落ち着きのある、大人のためのひとり旅です。」と謳っており、申し込みも大人(同社の規定では12歳以上)のみとしている。申し込みも一人単位限定、「落ち着きのある、大人のためのひとり旅」を謳っており、その体験のためには割高な料金も納得ということなのだろう。

「お一人様」ツアー参加者の心情

ネット上で「おひとり参加限定の旅」について口コミを検索すると、

・バス座席はひとりだから気が楽。ホテルはツインルームにひとりで贅沢だった
・全員ひとり参加だけどシーンとしているわけでもなく誰かと喋ったりする
・若いころは友人と行っていたけど50歳過ぎると人に気を遣いたくないのでよかった
・おひとりさまツアーに参加してる方は自立した方、常識のある方が多いような気がする
・一番良いと思うのは、旅の間だけお話しをしてお互い名も名乗らず、あっさりサヨウナラができること
一人参加同士の6人で食事のテーブルを囲みあっという間に仲良くなったけれど、観光中はベッタリではなかった
・料金は割高でもバスも2席使えてゆったり、観光も食事も入浴も自分のペースで気を使わずに楽しめる
・付かず離れず差し障りのない会話があるだけで、今まで不快な思いや寂しい思いをした事はない

などの様々な意見がみられる。先述のクラブツーリズム社の「ワンランク上のおひとり参加限定の旅 ひとりの贅沢」企画のキャッチコピーは、「きっと見つかる私の旅。」「“ひとり”だけど“独り”じゃない」である。なんとしてもアオろうという商魂たくましいこのコピーが、高額な「お一人様」ツアー参加者の心情をよく表している。

「おひとり参加限定の旅」な企画は大手から中小まで旅行会社の企画商品のトレンドとなっており、その参加年齢層は20代~70代と幅広い。最初にバブル期を含めてといったが、特定の年代だけの現象ではないのである。

(この稿続く)

(依藤 慎司)

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